2013年11月4日月曜日

【映画】風立ちぬを観て感じた、美しい矛盾の行方

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以下、たいしたものではないですがつらつらと感想などを。
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私は言わずもがな「幕末」と呼ばれる江戸時代末期がとても好きなのですが、それ以外にも、「ベルサイユのばら」「レ・ミゼラブル」の中に描かれるようなフランス革命の激動期も好きなのです。その理由は何だろう、と、ずっと考えていたのですが、この映画を観てひとつの答えが出たような気がしました。「美しい飛行機を創りたい」という夢を追う主人公、堀越二郎と、同じ夢を追い続ける若者たち。「俺たちの創ったものは戦争に使われるだけ」とわかっっているのに、夢を追い続けることをやめない若者たち。明るいはずの「夢」が暗く、重く、悲しいものに使われるという矛盾。その時代に生きている人たちにとっては、そんなに深い考えはないのかもしれないけれど、私はその「矛盾」にとても感銘を受けているんだと思います。

幕末に生きた志士たちも、フランス革命の時代に露と消えた革命家たちも、皆、「夢」を追っていた。自らの「信念」を抱いて生きていた。もし平和な時代に生まれたのであれば、その「夢」も「信念」もは美しいままだったのかもしれないのに、時代の流れに翻弄されて、逆らえず、気がつけば「官軍」と「賊軍」となり、気がつけば「処刑される側」となってしまった。その切なさが、私はたまらなく好きなんだなあ、と。

『風立ちぬ』の中にもずっとその矛盾があります。暗く、重く、悲しい戦争の時代に向かっているはずなのに、若者たちは底抜けに明るくて、ただがむしゃらに「夢」を追い続けて、ただ純粋に恋愛をして、真っ直ぐに生きている。悲しいテーマのはずなのに全編を通して明るくて、お涙頂戴の要素なんてどこにもありません。それなのに私は、涙が止まりませんでした。2時間5分の上映時間、ずっと泣いていました。

私たちは生きなければなりません。どんなにつらいことがあっても、しっかりと前を向いて。後ろを振り向いてばかりでは、いけない。

風立ちぬ、いざ生きめやも。

本当にすばらしい作品です。

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