2010年6月3日木曜日

【歴史】6月3日、「侍と私」-ポートレイトが語る初期写真-

 今日は良い天気!こんな日に何もしないのは勿体無いということで、少し足を伸ばして恵比寿まで行ってきました。東京都写真美術館の特別展「侍と私」を見るためです。幕末から明治期にかけての日本人の肖像写真を、西欧との関わりを踏まえた上で紹介しているということで、わくわくしながら見に行きました。

 まず驚いたのが恵比寿駅東口からガーデンプレイスまでの空間のお洒落さ!!首都圏に住んではいるものの決して都会人ではない(そもそも県民な時点でもう)私にとっては異次元レベルです。ガーデンプレイスの中にはビアガーデンもいくつか。平日の昼過ぎからビールで乾杯しているおじさまとかお姉さま方は一体何者でしょうか。何てセレブな・・・私もあと30年くらいしたら出来るでしょうか、あんなことが。そのためにはまず稼がなきゃいけませんね。・・・シビアな話。
 東京都美術館はガーデンプレイスの中を突っ切った所にあります。今回の企画展のポスターが出ていたので、ぱしゃり。 このポスターになっている写真は、「第二回遣欧使節 甲冑姿の河津伊豆守立像」だったと思います。ヨーロッパで撮ったものだとか。甲冑姿がヨーロッパ人に気に入られたそうです。河津さん(・・・でよろしいのでしょうか?)も、少し照れくさいのかな?甲冑を「着ている」というよりは、甲冑に「着られている」感じがします。可愛いです。

 実は私はあまり写真が好きではありません。と、書くと、写真ブログを書いている身としてはすごーく矛盾したことを言っているようなんですが・・・。自分で撮るのは好きなんです。日常写真みたいなものは、見るのも撮るのも好きなんです。ただ、「芸術作品」や「歴史的価値のあるもの」等、展示対象としての写真は苦手です。ヌード写真だったり、人間の姿を加工したものだったり、戦争の被害者、災害の被災者を映したものだったり。写真にも色々ありますが、どれも苦手です。写真は、実在のモノ・ヒトを、その枠の中に閉じ込めてしまっているから。写真の中に「在る」モノは、「居る」ヒトは、きっと写真を撮られた後に、動いたりして、変わっていたことでしょう。でも、写真にはその「動き」が無い。一瞬の姿をそのまま捉えて、閉じ込めてしまっている。それが、何だか恐ろしくて仕方ないのです。
 ・・・抽象的過ぎて自分でも良くわからないのですが・・・とにかく私は写真を見るのが苦手です。だから正直、この展示を見に行くまでは、まるでお化け屋敷に行くかのように(笑)ドキドキしていました。ワクワク半分、ドキドキ半分、とでも言いましょうか。

 てなわけでこの企画展。実際のところはどうだったのかと言えば・・・すごく楽しめました。写真に対する苦手意識は変わりませんが、幕末の人々の素顔を垣間見ることができて、ちょっとしたタイムスリップ気分を味わうことができました。以下、特に興味深かったものをいくつか。

●小島柳蛙像
 大小の刀をぶら下げた凛々しい侍姿の男性。背筋はピシッと伸びていて、眼光も鋭く、「これぞジャパニーズサムライ!」と拍手喝采を送りたくなるような姿です。でもどうやら、この方の本業は侍ではないらしいのです。彼の傍らには、ゴム手袋が無造作に置いてありました。注釈によれば「科学者」とのこと。うーん、科学者でも、こんなに凛々しくて格好良い男性が居たとは・・・あなどれません、江戸時代。

●題不詳(ほおづえをつく侍)
 上記の写真とはまた随分と雰囲気の違う侍の姿が映されています。しゃがみ込み、ほおづえをついて、少し上目使いでどこかを見つつ考え事をしているかのような男性。その構図も面白いんですが、リラックスした侍の姿というのがどことなく珍しくて、ついつい見入ってしまいました。

●題不詳(キセルを持つ青年像)
 明治以降の写真ということで、凛々しい侍とは言い難い・・・戦国時代で言うところの「かぶきもの」のような姿の青年が映っています。キセル片手に、着物はだらしなくはだけさせて、姿勢も悪いです。かつての侍のような威厳はどこへやら。これも、一種の「文明開花」と考えれば、一興といったところでしょうか。

●題不詳(徳川慶喜像)
 出ました、慶喜公!慶喜公の写真は3枚ほどありましたが、着色されていた写真(全身写真だったと思います)が気に入りました。結構、派手な服を着られていたんですね。確か緑と黄色っぽかった気が・・・少し曖昧です。慶喜公らしくていいなあと思いました。彼の写真は晩年のものまでいくつも残っていますが、どれも、どことなく気だるそうなのが印象的ですよね。まあ、活き活きと出来ない時代に生まれたから、仕方ないか・・・。

●題不詳(榎本武揚像)
 来ました!釜さんです!!蝦夷共和国の人たちの誰かいないかなーと思っていただけに、嬉しかったです。展示されていた写真は明治5年頃に撮られたもので、海軍中将を務められていた時だとか。腕章のついた洋式の軍服姿が格好良かったです。裏には榎本さんの直筆のサインがあります♪(実際には、写真を送った相手へのご挨拶が書かれています)最近、資料館に赴くたびに榎本さん関係の展示物を目にしている気が・・・何だか運命的ですね。

***

 おまけ。市立函館博物館で購入した「五稜郭・箱館戦争(史料集)」より、共和国メンバーの写真です。この写真が一気に見られる展示会とか無いかなあ、と思いつつ・・・。それでも今日のはかなり満足のいく企画展でした!!ありがとうございました^^*

2 件のコメント:

  1. こっちでのコメントは初めてだねーNZより美子です!
    恵比寿ガーデンプレイスお洒落だよね
    まさに都会人のための空間
    たまに行くけどアウェイだよ…!

    あとほおづえをつく侍とキセルを持つ青年像に反応してしまいました
    頬杖とかキセルとかちょっと気だるい感じのアイテムはドツボです。

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  2. >よしこさん

    コメントありがとうございまする!
    恵比寿ガーデンプレイスがあんなにオシャレな場所だったとはしらなんだ…そんな私は首都圏に住みながら只の田舎者です。
    サムライの写真は本当にアツかったですよ!
    普段は凛々しいであろう彼らの気だるげな表情が何とも…!
    また機会があればぜひぜひに♪

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