2013年6月21日金曜日

ラヴについて。

『姉の結婚』という漫画を読んだ。

年上の友人から借りて、はじめて読んだ時は、簿記の勉強のあとに一気読みしたからか、なんだかとても疲弊してしまって大変だった。うーん、最近流行っているのはわかるけど、ね…、といった具合。
でも不思議なもので。友人の話を聞いたりして、少し価値観が変わったかな、と感じたタイミングでもう一度読んでみたら、響き方が違った。もはやバイブルだ。この漫画はそういう意味では、とても策士だと思う。


主人公の岩谷ヨリは、40を目前に控えても独り身、もはや色恋沙汰は閉店宣言をしている、いわば『負け組』。そんな彼女が、運命のいたずらか、ずっと自分を慕っていたというイケメン精神科医と再会して、ずるずると関係を築いてしまう…というのが話の流れ。
このイケメン精神科医がフリーだったら、晩熟な女性のラヴストーリーで終わるのだろうが、あろうことか妻帯者だから、うまくいかない。流されるヨリと、巧みに操るイケメンの駆け引き。

結婚ってなに?恋愛ってなに?ヨリはぐるぐると考えては疲れ、沈む。見た目も内面もとても綺麗な女性なのに、なんて勿体無いことか!女性読者たちの妬む声を代弁してくれるのは、ヨリとは正反対のキラキラスイーツ女子、妹のルイだ。


ルイ、年齢はわたしとおなじ、24か5くらいだと思うんだけど、非常にテクニシャンである。自分が可愛いことを否定しない。可愛くてなにが悪い、と言わんばかり。それでいて馬鹿ではない。姉のヨリに対し、『心配かけないでよ、いろいろ!』とまで言えるほどの気の強さと豊富な経験を持っている。読者の代弁者でありながら、読者の憧れにもなりうる貴重な存在。

結婚についてぐるぐる悩み、泥沼の関係にはまっていくヨリ。一方で、『自分が一番好きなひとではなく、一番自分を大切にしてくれるひととするのが結婚!』とキッパリ言ってのけるルイ。深い、深いぞ、この姉妹。

…とまぁ、ほんとに好きなシーンはありすぎて選べないんだけど。この2人の対比が好きなのであえてピックアップしてみました。


この漫画の作者の書いた『男の一生』も読んだけど、作者は、すごく馬鹿な女の人を描くのが上手い。ヨリにしても、『男の一生』の主人公、つぐみにしても、容姿端麗で頭脳明晰のくせに、恋愛下手で臆病で、泥沼にはまっていく傾向あり。社会的に見ればNGだし、只の馬鹿だ。それでいて、この作者の漫画が女性から圧倒的な支持率を得ている理由は、馬鹿な女性を赤裸々に描きつつも、きちんと前を向き歩いていく彼女たちの姿を描くからではないか。

ヨリは、不毛な恋愛に対して一喜一憂しつつも、けして立ち止まったりはしない。かつて信じていた『運命』も、『それはわたしの選択のひとつ』とまで言ってのける。日々成長している。日々綺麗になっていく。最新刊の彼女は本当に綺麗だ。憧れてしまう。

きっと作者は、エールを送ってくれているのだと思う。馬鹿な女性たちに。馬鹿なままではいちゃだめだよ、きっと大丈夫だよ、と。


地元で見つけた、ラヴ。

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